パーソナリティ障害とは、その人の考え方や感じ方、行動のパターンに強い偏りがあり、その状態が長く続くことで、人間関係や学校・仕事などの社会生活に支障が出てしまう状態を指します。一時的な落ち込みや性格の個性とは異なり、「いつも同じような場面で同じつらさを繰り返してしまう」ことが特徴です。その結果、本人が深く悩んだり、周囲との関係がうまくいかなくなり、生活全体が苦しくなってしまう場合に診断が検討されます。
特徴として多いのは、感情の揺れが大きいことや、人との距離感が極端になりやすい点です。たとえば、相手の何気ない一言で「嫌われた」と強く感じてしまったり、不安や怒りが急激に高まって衝動的な行動を取ってしまうことがあります。境界性パーソナリティ障害では、「見捨てられるのではないか」という不安が非常に強く、強い言葉や自傷行為で気持ちを訴えてしまうこともあります。本人もコントロールが難しく、後で強い後悔を抱えることが少なくありません。
パーソナリティ障害は、性格の弱さや努力不足が原因ではありません。生まれ持った気質に加え、成長過程での家庭環境、人間関係の中でのつらい体験、安心できる関係を築きにくかった経験などが重なって形成されると考えられています。特に幼少期から思いを受け止めてもらえなかった経験や、突然関係が断たれる体験を繰り返した場合、大人になってからの対人関係にも影響を及ぼすことがあります。
パーソナリティ障害への対応で最も大切なのは、心理的なサポートです。医師や心理職と一緒に、自分の感情や行動のパターンを整理し、「なぜこう反応してしまうのか」「別の選択肢はあるか」を少しずつ学んでいきます。診察では責められることはなく、これまでの困りごとを丁寧に聞いてもらえます。症状に応じて不安や気分の波を和らげる薬が使われることもありますが、治療の中心は対話と支援です。
パーソナリティ障害は、「性格だから仕方ない」「一生変わらない」と思われがちですが、適切な支援を受けることで生きづらさを軽くしていくことができます。診断はレッテルを貼るためのものではなく、これまでの苦しさを整理し、より楽に生きるための手がかりです。人間関係がつらい、感情のコントロールが難しいと感じているなら、早めに専門家に相談することは、とても自然で大切な選択です。安心して一歩を踏み出してみてください。