強迫性障害(強迫症)とは、ある考えやイメージが何度も頭に浮かび、不安や違和感が強まることで、その不安を打ち消すための行動を繰り返さずにはいられなくなる病気です。本人は「考えすぎだ」「そこまでしなくていい」と理解していても、不安が強く、やめようとしてもやめられません。その結果、日常生活の多くの時間や気力が奪われ、学校や仕事、人間関係に影響が出てしまいます。性格の問題ではなく、治療の対象となる状態です。
強迫性障害の症状には、「強迫観念」と「強迫行為」の二つがあります。強迫観念とは、頭の中に繰り返し浮かぶ不安な考えやイメージのことです。それに伴い、不安を和らげるために行ってしまう行動が強迫行為です。たとえば「汚れている気がする」という考えが消えず、長時間の手洗いを繰り返す、戸締まりを何度も確認しないと安心できないといった状態があります。やめると強い不安が出るため、繰り返しが強まっていきます。
強迫性障害の原因は一つに決められるものではありません。生まれ持った気質、これまでの生活歴やストレス状況、脳内で不安を調整する神経伝達物質であるセロトニンの働きなど、複数の要因が関係して発症すると考えられています。以前は「強迫神経症」と呼ばれていましたが、現在は「強迫症」とされ、不安障害とは別のカテゴリーとして整理されています。本人の性格や意志の弱さが原因ではありません。
強迫性障害の治療では、「不安→行動→一時的な安心」という悪循環を少しずつ断ち切っていきます。医療機関では、不安がどのような場面で強くなるかを整理し、強迫行為に頼らず過ごす練習を段階的に行います。また、不安を和らげる目的で薬物療法が併用されることもあります。いきなり行動を禁止されることはなく、本人のペースを大切にしながら進めていく治療です。一人で抱え込む必要はありません。
強迫性障害は、「分かっているのにやめられない」ことで、本人が強い苦しさを抱える病気です。几帳面さや気にしすぎの問題ではなく、適切な治療によって症状の改善が期待できます。不安や行動に振り回され、「生活がしんどい」と感じているなら、それは相談してよいサインです。当院では、否定することなく、安心して話を聞うかがいます。早めの相談が、日常を取り戻す大切な一歩になりますので、お気軽にご相談ください。